07.16.13:15
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06.30.23:11
ゴミ溜め物語③
ゴミ捨て場に行かなくなってから2日がたった。
さっきちらとのぞいてみたけど、相変わらず偽物の月や
薄汚いゴミが落っこちているだけだ。
ゴミ溜めには未だに通っているが、最近はあまり良いものが
落ちていない。なんとなく拾ってみた椅子は毒々しい色で
あまり座る気にはなれない。
「赤い動物の首輪が」
ぼろぼろになってしまった。もうすぐ使えなくなる。
ざくざくざくざくざくざくざくざくざくざくざく
赤くてなって笑う。消える。
そこで目が覚めた。いつのまにか眠っていたようだ。
ふらふらする。何故だが辛い。寂しくてたまらない。
ぼんやりと今見た夢を思い出す。
大好きな人がいる。
好きな人から赤いものがどくどくと溢れ出す。
好きな人が泣き出す。
「好きな人を何回殺しただろう」
もう思い出せない。
顔を洗って、うがいをする。喉が痛い。
思い出したかのようにテレビをつける。
理解の出来ない言語が流れる。
片言の日本語が笑みを浮かべる男の口から溢れる。
誰もが悲痛な顔をしている。
「そういえば」
朝のニュースでもやっていたっけ。
一体何がいけなかったのだろう。
「箱の中の住人の気持ちなんて理解できないけど」
だからと言って死んでいい理由になんてならないのだが。
見ていられなくてチャンネルを変えた。大好きな人が映った。
このひとが死んでいい理由もない。
けれど何回殺しただろう。
ああ、ダメだ、頭が痛い。
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