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甘ったれた人間がお菓子を貪りながら入り浸るブログ。前フリもなく色々ネタバレすること多々あり。
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05.10.18:20

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  • 05/10/18:20

10.18.16:37

ゴミ溜めにさよなら

 
真夜中。
ゴミ溜めに行かなくなってから何日かすぎて、
私は引っ越しの準備をしていた。
もう一分一秒、一瞬だってこの場所にいたくない。
ドチラさまにもダレカさんにも会いたくない。
ノートから「ゴミ溜め」の文字を消した。

ゴミ溜めもゴミ捨て場もなんら変わりがないのだ。
やってくるドチラさまの性質が違うだけだ。根本的には同じなのに。
私は多分ゴミ捨て場にはまた通う。
私はただのボウカンシャだけど、このまま行けばドチラさまやダレカさんに
なるのだろう。でももう疲れてしまった。
皆消えてしまえばいいのに。


家を出て少し歩く。
地面を這いずりまわってる人がいる。
「神がおかしくなったのか?それとも私が?」
答えは出なさそうだ。
今度は教会に並ぶ行列を見る。
皆顔の半分を仮面が覆っている。
顔の右側が笑っていて、左側が怒っている顔。
どちらが本物の顔で、どちらが仮面?
やっぱり答えは出なかった。
行列の最後尾に並んでいる女が振り返り、私を指差した。
私の顔にも半分の仮面がついていた。
私は怖くなって走り出した。怒った顔が仮面にきまってる!


荷造りがはかどらないことにイライラする。
本当は散歩などしている暇はないのだ。
一刻も早く引っ越さねば。
そうこうしているうちにいつのまにかゴミ溜めについていた。
いけないいけない、と思いながらもつい覗いてしまう。
ゴミだらけだ。いいものなんか無い。
黒いフードの集団が、まるでゴミを宝石かのように見せびらかして、
笑ったり怒ったり、針を刺したりしているだけだ。
なんでこんな醜い場所に通っていたのだろう。
ここから流れ出る愛など汚いだけだ。
私の愛とは違うのだ。絶対。


フラフラした。
喉もかわいた。
お腹も減っている。
もう何もかもが嫌だった。
神だって私を救ってくれない。神はあの
這いずりまわっていた人を救わない。教会に並んでいた人も。
全部嘘だ。現実じゃない。愛なんて無い。
足が絡まって転んだ。
もう起き上がりたくない。
膝から血が出て、地面に小さなシミをつける。
黒い。ああ、気持ち悪い。
涙が出る。
黒く染まった血が流れる。
どうせ私もゴミ溜めの連中と一緒なのだ。



何時間かたったのか、月の光は消えて太陽がのぼる。
頭が痛くなって目が覚める。
膝の痛みを思い出して、起き上がる。
流れ出た血は赤かった。
驚いてあたりを見回す。
「誰か!」
助けてくれ。
「誰か!」
「誰か!」
私の血を赤くしてくれた誰かに助けを求めた。


太陽は今日も笑っている。
雨の日だって、私の見えないところで笑っている。
青い空だって。私の知らない所で、
「教えてよ!」
私は空に手を伸ばした。


空は私の手を掴んだ。
体の中が澄んでいく。血が赤く燃える。
これが愛だ。本物だ。きっとそうだ。
空の青さが眩しい。とてもきれい。
大好きだ。愛してる。

「やっと会えたね」


私の顔から仮面が剥がれた。











家に戻って、あの椅子を探したけど
捨ててしまったことに気づいて少し寂しくなった。
しょうがないので床に座った。
膝を見る。
血は黒かった。
他人から見ればどうせ黒いのだ。
しかし、あのときの私には確かに赤い血が流れていた。
新しいノートを開く。
青い絵の具が転がり落ちて、私は笑った。
きっとこの絵の具もすぐ使い切る。
まぁいいかと思う。





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10.02.00:39

あるゴミ溜めの物語の中はからっぽ

 
「生まれてきてごめんなさいとあやまりたいけれど
生んでくださった母様に悪いしどうしたらいいかわからない」



09.17.01:23

あるゴミ溜めの物語の中⑩

 
「もしかしたら無理かもしんないから約束なんてしないね
でもその予定ではあるよ秘密だけど」



09.13.09:48

ゴミ溜め物語⑥


 えらいことになった。

ある日ゴミ溜めでの宝探しから帰ってくると、
部屋の様子がおかしいことに気づいた。
ぐるりと部屋の中を見回すと、嫌でもひとつの椅子が目に入る。
否、椅子だったものが。
私が取り憑かれていた、どろどろで毒々しい色の椅子が、
完全に溶けて床にへばりついていたのだ。
うわ、と小さく悲鳴をあげて、私は後ずさった。
今まではいくら溶けてもまた形を取り戻したのに、
今はもう椅子だった面影は見当たらない。
何かどろどろしていて、気色の悪い色をしたアメーバのようなかたまり。
とにかくなんとかしなくては、と嫌々そのかたまりに近づき、
床に落ちていた鉛筆(本当は椅子の上に置いていたのだが)を持つと
おそるおそる椅子だったものをつんとつついた。
その瞬間恐ろしいほどの勢いで椅子だったものは鉛筆に絡み付き、
あっという間に私の腕をも飲み込んだ。
私はパニックになって腕を懸命に振ったが、ますます絡み付くばかりだ。
椅子だったものは私の腕をつたって、肩へのぼり、ついには右頬にまで
這ってきた。すると突然、声が聞こえた。椅子だったものからだ。

「馬鹿にしている」「それは本当に、謝罪?」「嘘をついている」
「あっちへいけ」「全て台無しだ」「二度と現れるな」
「お気の毒」「お気の毒」「お気の毒」「お気の毒」
「あなたはあなたでいいんですよ?」

声は頭の中に響きわたり、私の脳をゆらした。
もしかしてと思い、私は吐き気を覚えながらも椅子だったものを見る。
針だ。
夥しい量の針が、椅子だったものを覆っていた。
あまりの気持ち悪さに、肌が粟立つ。
胃の中の物がせり上がってきて、私は嘔吐した。
そうしている間にも、椅子だったものは私の体にまとわりつき、
針も私の肌をちくちくと刺した。凄まじい痛みだ。
「そうか」
私はこれの正体を理解した。
「これも愛か。ドチラ様の仕業だな」
このどろどろとした物体は、針穴から流れ出た愛。
いつか幻の針刺しや私の指から流れ出たものと同じものだ。
このアメーバのようなものは、ドチラ様の見当違いな愛と、
この椅子が元々持っていた、麻薬のように歪んだ愛が混ざり合ったものだったのだ。
きっと何人ものドチラ様が針を刺したのだろう。
そうでもないとこんなことにはならない。
泣き声が聞こえた。歪んだ愛からだった。
ただ愛していただけなのに、何故こんなことになってしまったのだろう。
歪んだ愛が、だんだん壊れて声を発さなくなるのと反対に、
ボウカンシャである私は泣きつづけるしかなかった。



++++++++++++++++++++++++++++++++

椅子が椅子のかたちに戻る頃には、私の涙は涸れていた。
倒れた椅子をじっと見る。
もう毒々しい色はしていない。溶けてもいない。
この椅子はもうただの椅子に成り下がった。
麻薬のような愛の中毒性は失われていた。
呪いのようなそれから開放されたはずの私は、ただ呆然としていた。
椅子を持ち上げて立たせる。針は刺さったままだが、もう何も流れ出ない。
そっと腰掛けて目をつぶっても、もう何も感じなかった。
涸れたはずの涙が出た。





08.23.01:22

ゴミ溜め物語⑤

 
誰かの泣く声がした。
無視した。
今私は夢を見るのに夢中である。
咽び泣く声にほんの少し意識を覚醒させられ、不機嫌になる。
椅子に深く座り直すと、手が触れたところがどろりと溶けた。
毒々しい色をしたそれは、零れ落ちることはなくすぐさま形を取り戻す。

この椅子を拾ってから、幾度となく望まぬ夢を見るようになった。
何度も何度も殺した、大好きな人が苦しむ夢だ。
私はなす術もなく、ただただ興奮するばかりだ。
こんな椅子など捨ててしまいたいと思うときもあるが、
座ることをやめられない。まるで麻薬だ。
確実に毒が私を蝕んでいる。
そのせいか、最近は夢よりも現実を見ることの方が少ない。
「いっそ現実を消してしまおうか」
たった一本のガラス瓶があればそれは実行できるだろう。

「でも、まだやめておこう。夢が見れなくなってしまう」



07.09.21:56

あるゴミ溜めの物語の中⑨

 
「常に誰かが死ねばいいと思っているんだ!」



07.05.14:14

あるゴミ溜めの物語の中⑧

 
「まだ俺の顔ちょっと好きかな」


小さな鏡は疑問に思います。



07.04.11:50

ゴミ溜め物語④

 
無性に辛いのにどろどろの椅子に座るのをやめられない。
最近、椅子の中から二羽の鳥が寄り添っているのを見つけたが、
弱っていてもうすぐ死ぬみたいだ。