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甘ったれた人間がお菓子を貪りながら入り浸るブログ。前フリもなく色々ネタバレすること多々あり。
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05.21.06:51

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  • 05/21/06:51

10.18.16:37

ゴミ溜めにさよなら

 
真夜中。
ゴミ溜めに行かなくなってから何日かすぎて、
私は引っ越しの準備をしていた。
もう一分一秒、一瞬だってこの場所にいたくない。
ドチラさまにもダレカさんにも会いたくない。
ノートから「ゴミ溜め」の文字を消した。

ゴミ溜めもゴミ捨て場もなんら変わりがないのだ。
やってくるドチラさまの性質が違うだけだ。根本的には同じなのに。
私は多分ゴミ捨て場にはまた通う。
私はただのボウカンシャだけど、このまま行けばドチラさまやダレカさんに
なるのだろう。でももう疲れてしまった。
皆消えてしまえばいいのに。


家を出て少し歩く。
地面を這いずりまわってる人がいる。
「神がおかしくなったのか?それとも私が?」
答えは出なさそうだ。
今度は教会に並ぶ行列を見る。
皆顔の半分を仮面が覆っている。
顔の右側が笑っていて、左側が怒っている顔。
どちらが本物の顔で、どちらが仮面?
やっぱり答えは出なかった。
行列の最後尾に並んでいる女が振り返り、私を指差した。
私の顔にも半分の仮面がついていた。
私は怖くなって走り出した。怒った顔が仮面にきまってる!


荷造りがはかどらないことにイライラする。
本当は散歩などしている暇はないのだ。
一刻も早く引っ越さねば。
そうこうしているうちにいつのまにかゴミ溜めについていた。
いけないいけない、と思いながらもつい覗いてしまう。
ゴミだらけだ。いいものなんか無い。
黒いフードの集団が、まるでゴミを宝石かのように見せびらかして、
笑ったり怒ったり、針を刺したりしているだけだ。
なんでこんな醜い場所に通っていたのだろう。
ここから流れ出る愛など汚いだけだ。
私の愛とは違うのだ。絶対。


フラフラした。
喉もかわいた。
お腹も減っている。
もう何もかもが嫌だった。
神だって私を救ってくれない。神はあの
這いずりまわっていた人を救わない。教会に並んでいた人も。
全部嘘だ。現実じゃない。愛なんて無い。
足が絡まって転んだ。
もう起き上がりたくない。
膝から血が出て、地面に小さなシミをつける。
黒い。ああ、気持ち悪い。
涙が出る。
黒く染まった血が流れる。
どうせ私もゴミ溜めの連中と一緒なのだ。



何時間かたったのか、月の光は消えて太陽がのぼる。
頭が痛くなって目が覚める。
膝の痛みを思い出して、起き上がる。
流れ出た血は赤かった。
驚いてあたりを見回す。
「誰か!」
助けてくれ。
「誰か!」
「誰か!」
私の血を赤くしてくれた誰かに助けを求めた。


太陽は今日も笑っている。
雨の日だって、私の見えないところで笑っている。
青い空だって。私の知らない所で、
「教えてよ!」
私は空に手を伸ばした。


空は私の手を掴んだ。
体の中が澄んでいく。血が赤く燃える。
これが愛だ。本物だ。きっとそうだ。
空の青さが眩しい。とてもきれい。
大好きだ。愛してる。

「やっと会えたね」


私の顔から仮面が剥がれた。











家に戻って、あの椅子を探したけど
捨ててしまったことに気づいて少し寂しくなった。
しょうがないので床に座った。
膝を見る。
血は黒かった。
他人から見ればどうせ黒いのだ。
しかし、あのときの私には確かに赤い血が流れていた。
新しいノートを開く。
青い絵の具が転がり落ちて、私は笑った。
きっとこの絵の具もすぐ使い切る。
まぁいいかと思う。





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