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甘ったれた人間がお菓子を貪りながら入り浸るブログ。前フリもなく色々ネタバレすること多々あり。
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04.20.13:30

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  • 04/20/13:30

06.15.23:35

ゴミ溜め物語

 

ゴミ溜めを漁っているとたまにいいものが落ちてたりする。
雨色の石。赤い動物の首輪。桃色の着物。70%OFFチケット。
最近は幻の針刺しを見つけた。珍しいものだ。
だがまさにゴミとしかいいようのない針ばかり刺さっている。
針を指に突き刺してみる。痛い。
指の穴から、愛だの侮辱だのが溢れ出した。
「全てが木っ端みじん。性格の前否定。侮辱ですぞ!」
止めどなく溢れる愛が叫んだ。
指を口に含む。そのえぐい味に顔を顰める。
「ここから溢れ出る愛は、歪んでいるなぁ」
私はぼんやりと思う。そして確信する。
結局ここには何もきれいなものが無いのだと。
よく見てみると、これまでに拾ったもの全てに針が刺さっていた。
気づかずに触れてしまい、指が切れる。
おびただしい量の愛、愛、愛、ああ、汚い。
「止まらないなぁ」
愛、愛、愛を止める術がない。
どろどろになった愛はいびつで、気色が悪い。
地面に落ち、ぐちゃぐちゃと音を立てて土の中に消えていった。
このまま無くなればいい。空に届かなければいい。
たまに、鳥が虫と間違えて空へとつれてってしまうのだ。
そうすると、大地には夥しい量の雨が降る。
一部の人間はその雨を掴もうとする。するりと抜ける。
「なんで雨を降らせるの!!」
自身のせいだとは知らず。

ゴミ溜めを漁るのは汚いけど、綺麗なものよりおもしろいんだ。
でもね、針が刺さるのは、嫌。

誰かにそう呟いた。
私の指からはまだいびつな愛が溢れ出ている。
「いつまでたっても止まらない。もしや私の血管にも、愛が?」
答えは出なかった。自分のことだからだ。

「ああ、ああ、ああ、愛が、ない
こんな愛のない奴、いらないわ
はやく、はやく、捨てられてしまえばいいのに」
こぼれた愛が叫んで、我に返った。
「馬鹿なこと言うんじゃあないよ。もう捨てられてるじゃないか」
と、私も針を刺しかえそうとしたが、やめた。
私は黒いフードを脱いでゴミ溜めを出た。今夜もまた来るつもりだ。
私と入れ替わりに、何人かがゴミ溜めに入って行った。
拾いにきた者もいれば、捨てにきた者もいた。
「何か、いいもの、あるかしら」
ここにはおもしろいものがたくさんある。
しかし、それを探しに、捨てにきた者たちは、
残酷で、汚らしい者ばかりだ。
「愛は、愛はどこかしら」
「愛を、私の愛を、見て」
ゴミ溜めの中に、悲鳴ともとれる声がこだまする。
「汚いなぁ」
そう呟いて、指を口に含んだ。甘かった。
なるほど、自分の愛は甘く感じるのだった。
針から生まれるいびつな愛となんらかわりはないのに。


今夜も、針の刺さったものを探しに行く。
沈みかけた太陽の光に目がくらんだ。
針に刺されたような痛みがした。







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